埼玉県公立御三家の進学力を再検証

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埼玉県公立御三家の進学力を再検証 埼玉県公立御三家の進学力を再検証

進学偏差とは?その計算方法と意義

以前、浦和・大宮・浦和第一女子について、記事を作成しましたが、今回は合格実績ベースを追加して再検証しました。

進学偏差」とは、大学の偏差値から高校の偏差値を引くことにより、その高校における進学指導の効果を数値化したものです。
式としては『基準係数+大学偏差値-高校偏差値』で表します。
大学偏差値は進学実績ベースと合格実績ベースがあり、進学実績ベースの場合は基準係数を100、合格実績ベースの場合は90を使用します。この指標はあくまで統計的な参考値であり、個々の生徒の努力や様々な要因により、実際の進学結果は大きく異なる可能性があります。

また、この数値の算出には以下の制約があることにご留意ください:
 ・大学の偏差値は学部により異なりますが、公表データの制限により平均値を使用しています
 ・進学先が不明な場合は一定の仮定のもとで計算しています
 ・単年度のデータに基づいているため、年度による変動があります

埼玉県公立御三家の進学偏差を比較してみよう

今回は埼玉県の公立高校の進学実績を深掘りする。特に「公立御三家」と呼ばれる浦和・大宮・浦和第一女子高校の進学偏差を見てよう。早速、それぞれの学校の進学偏差データを確認してみたぞ。

結果はどんな感じ?数字だけだとちょっと分かりにくいかも。

確かに。それぞれのリンク先を見れば詳細は分かるけど、比較しやすいように一度表にまとめてみよう。

高校進学偏差
(進学実績ベース)
進学偏差
(合格実績ベース)
差分
大宮83.8375.977.86
浦和一女81.7772.449.33
浦和78.5469.748.80

ここで気づくのは、進学実績ベースよりも合格実績ベースの数値が低いということ。これは基準係数が異なるからなんだ。進学実績ベースの基準係数が100なのに対して、合格実績ベースは90に設定しているんだよ。

基準係数を分ける理由

どうして基準係数を分けているの?同じ基準で比較した方が分かりやすいと思うんだけど。

いい質問だ。実は基準係数を同じにすると、合格実績ベースの方が数値が高くなってしまう可能性が高いんだ。

あ、それって浪人生をカウントしないから?

そうそう!鋭いね。合格実績ベースの進学偏差は元々浪人生を考慮した処理を行っているんだけど、それでも合格実績ベースの方が高くなる傾向があるんだ。

でも、合格実績ベースの方が高くなってもいいんじゃない?それだけ多くの学校に合格しているってことでしょ?

理論的にはその通りなんだけど、実際の問題として、似たような数字がある場合、人は無意識に「より高い方がいい結果」と考えがちなんだ。ただ、実際は進学実績の方が精度が高いと言えるんだよ。

なるほど!だから、基準係数を少し低くして、両方のスケールを揃えたんだね。で、この3校のデータを見比べてみると、意外とそこまで大きな差は出てないんだね。

そうだね。他の学校と比較していないから断言はできないけど、少なくとも順位は「大宮>浦和一女>浦和」で、進学実績ベースでも合格実績ベースでも同じ結果になっているね。

ということは、この3校の中では大宮高校の教育力が一番優れているってこと?

少なくとも数値上ではそういうことになるね。ただ、これだけで判断するのは早計かもしれない。もう少し深掘りしてみると、また違った景色が見えてくるよ。

どういうこと?もっと詳しく見てみたい!

それぞれの高校の合格大学の人数ベスト5を並べてみよう。これは現役と浪人を合わせた合格者数だよ。

高校別合格大学ランキング(人数)

順位大宮人数浦和一女人数浦和人数
1東京理科大学(56)145明治大学(59)111早稲田大学(66)138
2明治大学(59)142立教大学(59)94明治大学(59)110
3早稲田大学(66)102日本女子大学(50)84東京理科大学(56)110
4法政大学(56)82法政大学(56)68慶應義塾大学(65)73
5立教大学(59)70早稲田大学(66)50中央大学(57)49

おもしろい!大宮と浦和のベスト3に入っている大学は同じなんだね。でも順位が違うのが興味深いよ。

そうだな。さらに浦和一女も明治大学が首位だし、早稲田大学も5位にランクインしている。でも東京理科大学は8位までランクを下げているんだ。東京理科大学は私立理系大学の筆頭と言われているけど、女子の理数離れがよく言われている傾向がここにも現れていると言えるかもしれないね。

こうしてみると、浦和高校は偏差値がより高い大学が上位に来ているね。

鋭い観察だね。浦和高校は唯一、慶應義塾大学が4位にランクインしているし、6位には東京大学も入っているんだ(表には載せていないけど)。

なるほど!合格大学だけを見ると浦和高校がすごいって印象を受けるね。でも進学偏差では3校の中で一番低かったよね。これはどういうこと?

進学率から見える各校の進路指導の違い

その謎を解くために、主要大学について合格者数と実際に進学した人数を比較してみよう。

早稲田大学の合格・進学人数

高校合格進学割合
大宮1023130.39%
浦和一女501632.00%
浦和1381611.59%

明治大学の合格・進学人数

高校合格進学割合
大宮138117.97%
浦和一女1111917.12%
浦和11021.82%

東京理科大学の合格・進学人数

高校合格進学割合
大宮1452416.55%
浦和一女41717.07%
浦和11043.64%

わぁ!これは驚きだよ。浦和高校の進学割合の少なさが本当に目立つね。

そうなんだ。他の2校と比べると全く異なる傾向が見えてくるよね。早稲田大学でさえ進学率は12%弱だし、明治大学に至っては2%以下。これを見ると、浦和高校の生徒にとって私立大学はあくまで「滑り止め」という位置づけなんだろうね。

合格者数は他校と遜色ないのに、進学している人が少ない。つまり浪人して別の大学を目指す人が多いってことだね。

進学偏差を超えた学校選びの視点

そういうことだね。これまでのデータを見る限り、浦和高校は浪人してでも国立大学を目指すような学生が多いと考えられるんだ。そして進学偏差という指標は、基本的に現役合格・進学が有利に働くように設計されているから、その点が数値に表れているんだろうね。

なるほど!だから進学偏差だけを見ると、浦和高校は他の2校より低く見えるけど、実際には「浪人してでも難関国立を目指す」という異なる進路戦略を取っているだけかもしれないんだね。

そういうことだね。進学偏差は確かに有用な指標なんだけど、そこだけにとらわれるのは危険かもしれない。各校の特色や進路指導方針を含めて総合的に判断する必要があるんだ。

つまり、どの高校が「良い」かの判断は人それぞれってことだね。現役で私立大学に進学したい人もいれば、浪人してでも国立大学を目指したい人もいるだろうし。

その通り!最終的には生徒や保護者の方々の教育観や進路希望に合わせて選択するのが一番大切なんだ。数字だけでなく、その背後にある各校の特色を理解することが重要だな。

今回の分析、とても勉強になったよ!単なる数字の比較だけじゃなく、それぞれの学校の特徴や進路指導の違いまで見えてきて興味深かったよ。