

前回を振り返って:愛知県の教育事情

前回の続きです。
前回、愛知県の順位が低いことについて少し調べたが、もう少し深堀しようと思う。
確かに、中途半端だったかも。
で、まずは愛知県と近いものをピックアップする。
人口統計から見る都市部の特徴

令和4年度時点の人口ランキングはこんな感じ。
2022年度都道府県人口ランキング
順位 | 都道府県 | 人口 |
---|---|---|
1 | 東京都 | 13,794,933 |
2 | 神奈川県 | 9,215,210 |
3 | 大阪府 | 8,800,753 |
4 | 愛知県 | 7,528,519 |
5 | 埼玉県 | 7,385,848 |
6 | 千葉県 | 6,310,875 |
よく見るランキングだね。
そうだな。ここではもう少し掘り下げるぞ。年齢ごとの人口も載せてみよう。
2022年度年齢別都道府県別人口リスト
都道府県 | 0~4歳 | 5~9歳 | 10~14歳 | 15~19歳 |
---|---|---|---|---|
東京都 | 505605 (3.67%) | 544772 (3.95%) | 530720 (3.85%) | 530006 (3.84%) |
神奈川県 | 326174 (3.54%) | 371989 (4.04%) | 391584 (4.25%) | 405675 (4.40%) |
大阪府 | 316984 (3.60%) | 350101 (3.98%) | 372244 (4.23%) | 393080 (4.47%) |
愛知県 | 295169 (3.92%) | 333520 (4.43%) | 350765 (4.66%) | 355331 (4.72%) |
埼玉県 | 259644 (3.52%) | 299375 (4.05%) | 316560 (4.29%) | 328013 (4.44%) |
千葉県 | 219206 (3.47%) | 251622 (3.99%) | 267870 (4.24%) | 278976 (4.42%) |
全国 | 4450716 (3.53%) | 5138940 (4.08%) | 5446071 (4.32%) | 5619523 (4.46%) |
あれ?愛知県って他よりも割合高いんじゃない?
そうなんだ。
一応、一番下に全国を入れてみた。愛知県は全ての世代で全国平均を上回っているんだ。
つまり、大人の数に対して子供が多いってこと?
そう、全都道府県でいうと完全な相関はなかったんだが、都市部では意外と愛知県が他に比べれば少子化対策がうまくいっているのかもしれんな。
少し世帯数を調べてみるか。
2023年度都道府県別人口・世帯数リスト
都道府県 | 人口 | 世帯数 | 世帯当たりの人数 |
---|---|---|---|
東京都 | 13841665 | 7451051 | 1.86人 |
神奈川県 | 9212003 | 4512592 | 2.04人 |
大阪府 | 8784421 | 4462498 | 1.97人 |
愛知県 | 7512703 | 3421030 | 2.20人 |
埼玉県 | 7381035 | 3470089 | 2.13人 |
千葉県 | 6310075 | 3023394 | 2.09人 |
この世帯当たりの人数っていうのは?
単純に人口から世帯数を割ったものだ。1世帯に平均何人いるかってことだな。
東京と大阪は2人を下回っているね。
そうだな。やはり都心になると一人暮らしが多くなるってことだな。
その中で愛知は2.20人とこの中では一番多いね。
うん、もちろん平均だから確かなことは言えないが、世帯数が多いってことは兄弟の多い家庭が多いのかもしれないな。
そうなると学費もかかるから高卒の人も増えるということだろうな?
2024年から東京・大阪で高校無償化がスタートしているみたいだけど、どうなんだろう?
全国については今も所得制限撤廃するかどうかで協議しているみたいだが、どうだろうな。むしろ教育格差が広がるのでは?という人もいるし、このあたりはこれからも注視していこう。
そうだね。とはいえ、若い世代になるにつれて人口が減っているね。
・・・そーなんだよ。あくまで他に比べればってこと、少子化問題は国の問題だからね。なんとかしないと。。
気をとりなして。次に高校進学者について調べよう。
進学率の地域間比較

あれ?前に少し調べたよね?それほど変わらなかったよ?
そうだったな。今回はさらに高校卒業者数と大学進学者数も追加してみた。
都道府県も増やしたぞ。
以下を参照しました。本来であれば中学は遡る必要があると思うのですが、両方とも最新データを参照させてもらっています。ご了承ください。
2024年度中学・高校卒業者数および進学者数
都道府県 | 中学卒業者 | 高校進学者 (進学率) | 高校卒業者 | 大学進学者 (進学率) |
---|---|---|---|---|
東京都 | 104600 | 103081 (98.5%) | 93495 | 69369 (74.2%) |
神奈川県 | 75275 | 74635 (99.1%) | 60088 | 41722 (69.4%) |
大阪府 | 73472 | 72264 (98.4%) | 62697 | 43229 (68.9%) |
愛知県 | 69714 | 68402 (98.1%) | 56956 | 36457 (64.0%) |
埼玉県 | 62094 | 61325 (98.8%) | 50543 | 33303 (65.9%) |
千葉県 | 52937 | 52286 (98.8%) | 43039 | 27872 (64.8%) |
全国 | 1070599 | 1055508 (98.6%) | 451659 | 285698(63.3%) |
東京の進学率すごいね。大阪や神奈川も高い。後は埼玉が少し高いかもだけど、愛知や千葉も全国から比べたら進学率高いんじゃない?
そうなんだよな。
つまり、別に大学進学の母数が少ないわけじゃないってことは言えるわけだ。
で、次のデータに行くぞ。
今回は色々データ出てくるね。
ネットには色々データが落ちているからな。便利な世の中だ。
まぁそれはいいとして。
次は都道府県ごとの偏差値別高校生徒数だ。
前回ランキングに使用したデータを都道府県ごとにとって再集計してみた。とはいえ、全部やると大変だったので今回は東京・大阪・埼玉そして愛知に絞らせてもらった。これはグラフで出したいな。
そうだね!グラフの方が見やすいよ!
今回は、Chart.jsを使ってグラフを作成してみました。
ChatGPTに相談して作ってみた。データを入れる部分以外はほぼそのままで作成できたな。
どんなグラフになったかな?
2024年度都道府県ごとの偏差値別高校生徒数
グラフ上部の県名をクリックすると表示・非教示を切り替えられるので、分かりづらい部分は切り替えながら見てください。
東京はきれいな山の形をしているね。最頻値は偏差値55かな?
そうだな。でも、これって先ほどの大学進学率と一致している気がする。
これは感覚的ではあるが、偏差値が高ければ高いほど大学進学率は高くなると思うんだ。
そうなると東京のグラフが本来の正規分布よりも右につまり、偏差値の高い方にづれているのはデータ的には正しい気がする。
なるほどね。他も見てみよう。
愛知県は最頻値は50前後だね。これって正規分布的には正しいよね?
そうなんだ。というか他の大阪や埼玉が少しいびつなんだよな。
確かに!埼玉は45,55は高いのに50は低いし、大阪も45をピークになだらかな線になっているね。
これてなんで?
ここで少し標準偏差を出してみよう。
標準偏差?
データのばらつきを計る上での指標なんだが、まぁChatGPTに聞いてみな。
平均からどれくらいデータが散らばっているかを表し、値が大きいほどデータのばらつきが大きく、小さいほど平均に近い値が多いことを意味します。
例えば、テストの点数が 「50, 50, 50, 50, 50」 なら標準偏差は 0(全員同じ点数)ですが、
「30, 40, 50, 60, 70」 のように点数がバラついていると、標準偏差は大きくなります。
つまり、値が大きいほどバラバラってことね。
ここでいうと格差が激しいってことだな。
どうなっているのかな?
都道府県 | 偏差値平均 | 分散値 | 標準偏差 |
---|---|---|---|
東京都 | 54.0 | 83.70 | 9.15 |
大阪府 | 51.0 | 88.83 | 9.43 |
愛知県 | 49.27 | 54.95 | 7.41 |
埼玉県 | 53.86 | 85.73 | 9.26 |
愛知県が他の都市よりだいぶ低いね。
うん、まぁグラフ見た感じ偏差値70以上がないからな。
それに東京よりも大阪・埼玉が高いのもいびつなグラフを数値化してくれた感じだな。
進学率の地域間比較

最後に東大・京大の合格者を都道府県別に見てみよう。
インターエデュの東大・京大合格者ランキングを参考にしました。なお、今回の合格者数は現役のみを対象としています。
2024年度東京大学・京都大学の都道府県別合格者数リスト
都道府県 | 大学進学者 | 東大合格者 | 京大合格者 | 東大・京大合格者割合 |
---|---|---|---|---|
東京都 | 69369 | 817 | 152 | 1.397% |
大阪府 | 43229 | 19 | 126 | 0.335% |
愛知県 | 36457 | 69 | 96 | 0.453% |
埼玉県 | 33303 | 81 | 18 | 0.297% |
合格者数だけだと分かりづらいので大學進学者数から東大・京大の合格者合計を割ったものも表示してみた。
東京都がすごいことになっているもん。
グラフから見ても偏差値75以上の高校が多かったからな。
ちなみに東大・京大以外にも偏差値の高い大学はあるし、当たり前だが全員が東大・京大を目指しているわけではない。あくまで目安としてみてほしい。
東京都が圧倒的だけど、愛知県も0.45%と大阪、埼玉を上回っているね。
だから、偏差値70以上の高校がほとんどないことと東大・京大の進学率にはあまり相関がないと言えるかもしれないな。
上位層の学力は変わらないって事?
データだけを見れば。東京は別格として少なくとも大阪や埼玉には優秀な生徒の割合が多いと言えるかもな。
少しまとめよう。
まとめ

- 人口は都道府県第4位
- 0~19歳の人口は他の都道府県より割合が高い(=子供の割合が高い?)
- 世帯あたりの人数は2.2人と他の都市より高い(東京1.9人・神奈川、大阪2.0人)
- 大学進学率は東京・神奈川・大阪等他の都市より低いが、全国平均よりは上
- 都道府県ごとの偏差値別高校生徒数のばらつきは他の都市よりも低い
- 東大・京大の合格者数は少なくないし、割合は大阪・埼玉より大きい
以上の事より愛知県の学力自体は決して劣っているわけではないが、他の都市部に比べ子供の割合が多いため、偏差値が低くなっている可能性が高いってことが言えるな。
なるほど。偏差値だけで比べても見えない事があるってことだね。
そうだな。今後、進学偏差を出していくと色々見えてくることもあるかもしれないな。